MMNインタビュー:ドール着ぐるみ初のモデル”橋本ルル”プロデューサーインタビュー「”可愛く生きたい”の極致」

24.August.2016 | FASHION

 

―Twitterに上がっている画像を拝見しましたが、hakuchum tokyoさんのお洋服を着ておられる事が多いですが、専属モデルなのでしょうか?

06 07 08

特に専属モデルという訳ではありません。活動デビューがhakuchum tokyoラフォーレ原宿イベントでのモデルだったのでこの期間統一していました。

 

既に小物でコーディネートへ加えていたりするのですが、Emily Temple cuteやPINK HOUSE、MILK、RoseMarie seoir、Innocent World、Leur Getterのブランドさんが個人的に大好きなのと、他にも原宿系・ガーリーカジュアル・ロリィタ・クラシカル・レトロ系統のお洋服を結構自由に愛好しているので、これから色々なファッションを着こなしたルルちゃんの可愛い姿をお目に掛けられたらいいなと思います。

 

―どのような経緯でデビューされたのでしょうか。

 

元々ずっと美少女着ぐるみの制作を手掛けているチーム「ぬこパン」さんとの公式コラボレーション制作なんですよね。

 

経緯としては、そもそも私が2年前にぬこパンさんのほぼ最初期のドールヘッド型着ぐるみと出会っていまして、これこそがずっと求めていた理想だ!!と、とても鮮烈に覚えていたんですよね。そしてご縁とは不思議なもので、今年に入ってからブランドとして出店させて頂いたイベントの打ち上げでご挨拶した方がたまたまぬこパンさん側の方で。思わずあの時の衝撃と熱意を語ったところ、ちょうどファッションブランドと全く新しいアプローチをしてみたいと考えていたところだった、一緒に何かしませんか、と。そこからはトントン拍子です。原宿発の「ドール・ファッションモデル」を生み出そう、世界最強のかわいいを作りましょう!と。

 

―ドール着ぐるみ初のファッションモデルということですが、既存のファッションモデルさんとはどのような部分が違うのでしょうか?人形なのでしょうか、人間なのでしょうか?

 

やはり”ドール”ファッションモデルという点です。

 

人形か人間か、というより”橋本ルル”というキャラクターだと思って頂ければ。人形になりたかった女の子です。

 

―「人形のようになりたい」。この表現はドール愛好家だけではなく、女性全般の願望に近いものだと思うのですが。

 

「人形のような」という表現はガーリー系のファッション雑誌などによく出てきますよね。ドールメイク、お人形さんみたいなワンピース、って形で。よくある憧れの可愛い存在、の単なる代表的な例えの一つです。

 

でもそれが「人形になりたい」になってくると、もう「モデルになりたい」とか「可愛いあの子みたいになりたい」とはちょっと種類の違う願望だと思うんですよ。可愛くなりたいって願望の極致だけど、極致すぎて、絶対叶うわけがなかった領域。だから「人形になりたい」だけは、どうしようもなく『絶対叶わない、叶うわけがない』って諦めを前提にして放たれるものだった。

 

―「人形になりたい」は可愛さを突き詰めた答えというか…。

 

そうなんです。でも、それを「橋本ルル」が現実にした。

 

 

―プロデューサーは元々ドールがお好きでドールに詳しいのでしょうか。ドーラーとしての活動はされておられたんでしょうか。

 

球体関節人形作家を八年していました。当初廃れない美に憧れてです。実は恐縮なのですがドーラーの経験はありません。先述のぬこパンさんとも偶然ドールイベントに出展されていたために出会うことができました。後で伺いましたが、ぬこパンさんにとってもドールイベントへの出展は挑戦だったようです。

 

―ルルちゃんを人形側へと近づけている球体関節の部分はタブロヲの上野航さんとコラボされたと伺いましたが。

 

元々個人的に上野さんの「球体関節ストッキング」を発売当初からずっとリピートで愛用しておりまして、お会いしたこともあったんですね。本物の圧倒的な美しさ・斬新な発想も勿論、さらにテーマとしても「コスプレ」や「ただ奇抜な服」ではなく明白に「リアルクローズ」へ軸を置いた表現者であることからも上野さんに手掛けて頂きたく、ぬこパンさんとのコラボレーションが決まった地点でお伺いすることも決めていました。長らく憧れでもありましたので、OK頂けたときは本当に嬉しかったです。

09

―フルカスタム、フルチェンジ可能なファッションモデルというのは人間のモデルを超えてしまうのでは…と感じてしまいます。

 

それはないと思います。人間のモデルにしかできない仕事、人形にしかできない仕事があるので。むしろ、できる表現の幅が広がったのではないかと思います。

 

例えば、人間にしかできない表現の一つが「呼吸感」です。人間をどれほど完璧にメイクアップしても人間としての呼吸感は残るので、カジュアル感を強く押し出す撮影であれば人間のモデルが有利になると思います。逆に、例えば「可愛くなりたい」のきらめきや、完璧な美、アーティスティックな表現を望む撮影などでは人形のモデルがこれまでになかった全く新しい表現を開拓するのではないでしょうか。ウィッグやカラコンを着けた状態で自然になるよう顔立ちやメイクが仕上がっているので人間では難しいカラーへも自由に変えられますし、身長やプロポーションなどもシュチュエーションに合わせて変えられるようにし、あえて縛らないことにしています。人間の枠にとらわれない自由な表現ができると思います。

 

-(ルルちゃんは)人形よりの存在ですものね。

 

そうなんです。でも、マネキンに着せるのとは違った表現ができるので。

 

-柔らかさがありつつも、硬さがないなと思って。

 

そうなんです。マネキンに着せるよりも実際に人が着たときのシルエットを極めてイメージしやすいけれど、人間よりも無機質。


―身長の違うルルちゃん達の写真を拝見したのですが、違和感なくいずれもルルちゃんだなって。

 

ルルちゃんのアイデンティティはドールヘッドに置いているので。身長が変わっても体がトルソーになってもルルちゃん。色んなルルちゃんが見られる。どのルルちゃんが本当、じゃなくて全てがルルちゃんで、これからも色んなルルちゃんが見られるよ、全部ルルちゃんだよっていう。

 

―その感覚は新しいと思います。未来感があるけれど、今っぽさもあるというか不思議な感じがします。

 

実は、何か可愛いものが出てきたぞ、というだけではなく、「新しいジャンルが来た」「何かすごいものを目撃している気がする」のような反応もまたよく頂きます。先述した「人形になりたい」の話が特徴的ですが、「ドールフェイス」には「アニメフェイス」の持っている物語とはまた違う方向性の物語も感じます。そういった側面がもたらす感覚じゃないかなと。

 

―新しい時代が来た、みたいな。

 

今、丁度VR(仮想現実)やAR(拡張現実)が注目されている時代だと思うんですが、そのステージの『フィクションを現実に』が思いっきりリアルの造形方面から出てきたっていうのが面白いですよね。一切CG無しの非現実、というか。

 

―VR、AR、DRですね。

 

Doll Reality、何かいいですね。DR。

 

>>next page 今後の活動について

1 2 3

RANKING

  • DAILY
  • MONTHLY

FOLLOW US