米津玄師、自身初のアリーナツアーで17万人以上を動員

12.March.2019 | MUSIC

2019年3月11日、米津玄師が「米津玄師 2019 TOUR / 脊椎がオパールになる頃」の国内ファイナル公演を幕張メッセにて開催した。
この日のライブは、17万人以上を動員した自身初の全国アリーナツアーの国内最終日。
そこで見せたのは、「自分にとっても大きく、環境が変わっていく一年だった」と彼自身もMCで語った2018年を経て、それでも変わらぬ彼のアーティストとしての美学の真髄を見せるようなステージだった。

ライブは「Flamingo」からスタート。
見たこともないような三角形のステージと、同じく三角形の大中小、三連のトラスに、淡いピンクのカラーが写しだされるなか、躍動的なグルーヴで会場に熱気を生むと、続く「LOSER」で米津は前方に歩み出て、花道からオーディエンスを見下ろし、力強く鼓舞しながら歌う。

さらに「砂の惑星」では花道をステージ狭しと歩きまわり、気迫に満ちた叫び声を響かせた。
「今日は楽しい日にしましょう。よろしくお願いします」と告げ、アコースティック・ギターを抱えて「飛燕」を披露。つづく「かいじゅうのマーチ」は古代の壁画のような映像、そして「アイネクライネ」では大きな扉の前に、ハートやスペードなどの記号が映し出された。

セットリストはアルバム「BOOTLEG」収録曲を中心に、過去作からのナンバーを織り交ぜた構成。単に曲を並べるだけでなく、彼の音楽性をさまざまな角度から紐解き、ストーリー性と共に見せていくような構成だ。


それを強く感じたのは中盤のパートだった。カラフルなグラフィックの「春雷」から「Moonlight」では満月の映像をバックに男女2名のダンスパフォーマーが踊るのを前に、ストリーテラーのように歌う米津。スモークがたちこめる中、「fogbound」に続き「amen」では、暗転した中に響く荘厳な鐘の音から、一転してダークな世界に突入する。三角形のステージと頭上トラスの間をうごめくパフォーマーの前で歌う米津は、神聖さと同時に怖さすら感じさせる存在としてみえ、曲が終わると大きな拍手がおきた。

「Paper Flower」ではダンサーのシルエットが浮かび上がる。息を呑むような演出で、米津の切実な歌声に胸があつくなる。彼の音楽世界のより深く、より純度の高い部分に誘われていく。


続く「Undercover」でそのムードが一転した。ドラムパフォーマンス集団「鼓和 -core-」が登場し、米津と共に花道を歩く姿は圧巻の迫力。そして会場が色とりどりの光に包まれた「爱丽丝」から「ピースサイン」「TEENAGE RIOT」と、バンド編成の躍動感あふれる演奏とを響かせる。

終盤、米津は自分の思いを語りかける。ドラマ主題歌となり ”自分でも想像しなかったような広がり方をした” という楽曲「Lemon」をきっかけに、大きく環境が変わった2018年を振り返り、「変わっていこうという気概を持つ人間は美しいと思うし、変わっていくというのは自分が音楽を作っていくうえでの基本理念」と語った彼。それでも「自分のことを海を渡る大きな船だとするならば、その船から誰も落としたくないと思う」と率直な思いを語る。沢山のオーディエンスが集まったことに「こんなに嬉しい、有り難いことはないと思う。こういう美しい光景がいつまでも続いていけばいいなと思います」と感謝を告げた。

本編ラストのパートは「Nighthawks」「orion」「Lemon」の3曲。レモンの香りが漂うなか、白い光に包まれ、力強くも優しい歌声で伸びやかに歌い上げ米津はステージを降りた。

大歓声と拍手に迎えられ、再びアンコールに登場した米津。まずは、「ごめんね」を披露。
この曲は米津が初めてライブのために書いた曲であり、サビの部分を「一緒に!」と言い、お客さんと合唱する姿からは笑顔が溢れ、パフォーマー全員が高らかに舞い踊り、シャボン玉の泡が舞い上げられる、祝福感と高揚感に満ちたパフォーマンスだった。

MCでは「今回のツアーは終わるけれども、また近い内にやるんで。決まってないけど。そのとき、またみんなで会いましょう。今日はどうもありがとうございました」と告げて「クランベリーとパンケーキ」を披露し、ラストは「灰色と青」。

壮大な水面の映像をバックに、今はもう会えない友人へと向けたこの楽曲を高らかに歌い上げる米津の歌声は、ライブという日が終わってしまっても、それぞれの思いが繋がっていく事を感じさせる、そんな風に響いていた。
ツアーはこの後、彼にとって初となる上海、台北の公演に続く。それでも、彼の言う「美しい光景」の一つの到達点を見せられたような一夜だった。

 

Text   柴那典
Photo   立脇卓、太田好治

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