歌手なき時代に光を射すAimer。魅惑の歌声が紡ぐ次の時代

23.February.2019 | FEATURES / MUSIC

一度聞いたら忘れられない、深みのあるハスキーボイスが話題の女性シンガーAimer(エメ)。昨年10月31日より全国19か所21公演のホールツアー『Aimer Hall Tour 18/19 “soleil et pluie”』を開催する中、1月 9 日(水)には通算 16 枚目となるニューシングル『I beg you/花びらたちのマーチ/Sailing』をリリース。 1 月 15 日発表の 1/21 付 オリコン週間シングルランキングでは初登場 1 位という快挙を成し遂げた。

 

そもそもシンガーが“歌手”と呼ばれなくなったのは、いつの頃からだろう。かつては松田聖子や中森明菜など、アイドルという名称と共にその言葉を担っていた。しかしJ-POPの活性とともに、シンガー・ソングライターが浸透するのと反比例するかのように、“歌手”という呼称はMISIAなど数人を残し、姿を消したのである。そんな現代において、“歌”をフィーチャーした希望の光を射すのはAimerではないだろうか。肩書きこそシンガー・ソングライターであるが、彼女が紡ぐのはまさしく歌を届ける音楽。今の日本に枯渇している“それ”なのだ。

 

偏見を排除するための“アニメ”という入り口

デビュー当時無名だったAimerの歌を多くの人に届けたきっかけは、アニメの存在だ。2011年発売のメジャーデビュー曲「六等星の夜」を筆頭に、「Re:pray」や「RE:I AM」など様々なアニメの主題歌やオープニング、エンディング曲を担当し地位を確立してきた。

 

新人アーティストの多くは、わかりやすくビジュアライズして売り出される。可愛らしい見た目で可愛らしい曲を、かっこいい見た目でかっこいい曲を。そのアーティスト性を伝えるために考え抜かれたパッケージで世に出されていく。

 

しかし、Aimerは年齢も国籍もわからない謎なイメージを持つブランディングで世に放たれた。まるでビジュアルで音楽の好き嫌いを決めてしまう人々へのアンチテーゼかのように。それは彼女の容姿が世間的に劣っているからではない。第一に彼女の声や歌に触れてほしかったからだ。そして、ジャパニーズカルチャーのアニメと交わることで、自身の世界観をAimer以外のフィルターを通して届けることを可能にした。

運命が導いた魅惑の歌声

Aimerの最大の魅力は歌声である。浮遊感がありつつも芯の通ったハスキーボイスは、唯一無二と言っても過言ではないだろう。現に、日本音響研究所の所長は「振幅ゆらぎと周波数ゆらぎが同時に発生している、非常に稀な声の持ち主です」とAimerのことを証している。

 

しかし、この歌声は生まれつきのものではなかった。15歳の頃、歌唱のしすぎで喉を痛め約半年間、彼女は声を出すことができなかった。その回復後に喉を労り生まれたのが今の声質や歌唱法なのだ。

 

難なく歌っているように感じるかもしれないが、彼女はまだ結節を喉に抱えている。デビューから7年の間、自分のコンディションと向き合い常に“音楽的に”歌うことを追求してきた。その愚直で声オタクたる姿勢が、彼女の歌声が特別であり続ける理由のひとつといえるだろう。

 

著名人が押すAimerの背中

また、著名人のファンが多いのもAimerの特徴のひとつだ。

 

阿部真央や西川貴教がファンを公言しているほか、桑田佳祐も2012年のトップ20にAimerを選曲している。多くの著名人が好きなアーティストとして彼女の名をあげたことにより、そのファンへも彼女の名はリーチすることとなった。

 

楽曲提供やプロデュースをしてもらうという形で、ミュージシャンと関わりが多いのもAimerの活動の特筆すべき点のひとつだ。一例をあげると彼女の代表曲ともいえる「蝶々結び」は、RADWIMPSの野田洋次郎が手掛けている。その他にも、Taka(ONE OK ROCK)やTK(凛として時雨)、Coccoなど、名を連ねるのは音楽好きなら一度は名前を耳にしたことがあるミュージシャンばかり。このような音楽家たちと関わりながらも己の表現を邁進できるのは、彼女の歌声がどんな音楽性も内包することができるキャパシティーを持っているからに他ならない。

時代が証明する日はスグそこだ

自身も声オタクでありながら、音楽的に歌うことを追求してきたAimer。歌や声と愚直に向き合い、表現をするその姿勢は現代に必要とされている歌手そのものなのではないだろうか。先日発売された16枚目のシングル『I beg you  / 花びらたちのマーチ / Sailing』は、自身初のオリコン週間シングルランキング初登場1位を記録した。彼女が時代の求めるシンガーだということが証明される日は、すぐそこまで来ている。

 

テキスト:坂井彩花

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